「師走の大文化祭!」(2018年)

OVERVIEW

弦巻楽団がクリスマスに贈る、名作、迷作?揃いの大文化祭。戯曲講座から生まれた2作品と、その年の若手演出家コンクールで最優秀賞に輝いた『四月になれば彼女は彼は』。さらに、イトウワカナ演出によって2013年に上演した『茶の間は血まみれ』をリーディング上演。

『お願い!振り向いて』

2017年度の戯曲講座で生まれた、楽団員相馬日奈による作品。

大好きな彼氏、千隼くんに別れを切り出された主人公奈々ちゃんがもう一度振り向いてもらうべく友達に協力してもらいながら頑張るお話。別れたい千隼の言い分は、”ある物”を愛してしまったという。そんな物に負けるかとポジティブに踏ん張る奈々。
恋する乙女は可愛い?それともドブス?

出演:鈴山あおい、柳田裕美、三上翔平、島田彩華、さとうみきと(座・れら)、廣瀬拓哉

作・演出:相馬日奈

『四月になれば彼女は彼は』

若手演出家コンクール2014最優秀賞受賞作品。札幌、東京をはじめ国内各地と韓国でも上演された名作が、新たに2018年バージョンとしてよみがえる。

出演:深浦佑太、木村愛香音

作・演出:弦巻啓太

『本当は言いたかったこと』

弦巻啓太が指導するクラーク高校演劇ゼミで生まれた短編を上演します。高校生自身による自分たちの声を元にした舞台をお楽しみ下さい。

作・出演:クラーク高校演劇ゼミ

構成:弦巻啓太

『あらかん あらまあ あっけらかん』

2016年度の戯曲講座から生まれた、あらかん世代(アラウンド還暦世代)を描く、心温まるヒューマンコメディ…?明るく、逞しく生きるあらかん世代へのエール。

脚本:高田眞紀子

演出:弦巻啓太

出演:池江蘭、伊藤優希、岩波岳洋、工藤康司、佐藤汐里、塩谷舞、須貝昇太、高橋友紀子、佐久間優香、伊能武生

演奏:あみゅぜ(小林美穂、三森理恵)

『茶の間は血まみれ』

札幌劇場祭2013大賞最終候補作品。企画賞受賞。

作者の子供時代から大人になるまでを詳細に、精緻に、「正確」に描いたノンフィクション(?)父と息子、家族と息子を描いた名作として「全ての高校生に見せるべき」との評価もいただいた名作を、遂に弦巻自身の手によって上演!!

出演:池江蘭、伊藤優希、岩波岳洋、工藤康司、佐藤汐里、塩谷舞、須貝昇太、高橋友紀子、佐久間優香、伊能武生

作・演出:弦巻啓太

演奏:あみゅぜ(小林美穂、三森理恵)

公演概要

日程

2018年12月22日(土)〜24日(月)
全6ステージ

会場

扇谷記念スタジオ・シアターZOO

メッセージ

ひょんなことから、戯曲講座を受けることになったのは現在大学生になった女の子の引率で弦巻氏のところへ二人で行ったのが始まりです。演劇について学びたいという高校三年生の受験を控えた子でした。講座の説明会に行くと、私たちだけでした。一人置いていくのも何なので、じゃあ一緒にやってみようということで、受講生となりました。

中学校に勤めて三十三年間、体育教師として勤務していましたが、娘が病気を抱えながら初めてミュージカルに参加した時、その中の歌に、「たった一度の人生だもの、楽しく生きなきゃ損じゃん」というフレーズに背中を押され、定年までの残り五年間を待たずして早期退職をしました。この五年間は、プレゼントされたものとして、絶対いいものにして見せると、何をするのかも決めずに退職しました。この脚本の主人公「山之内かずえ」はまさにその時の私です。

そんな私が出会ったのは、児童劇団を立ち上げるという方からのおさそいで、体育畑の私に何ができるのかと思いつつ、できる事を精いっぱいやっていこうと思いお引き受けしました。そして、旗揚げ公演、地方公演、映画撮影など、教員時代には経験できなかったいろいろなことが初体験で、ワクワクしながら過ごしていました。気づくと五年が過ぎていました。「今の自分より一歩前へ」を自分自身の目標にして、忙しいけど楽しい忙しさを体感していました。給料は半減以下になりましたが、二人の子供たちの学費の心配もなくなり、生活できる範囲で生きていました。

退職から五年が過ぎて、脚に痛みがあり手術をすることになりました。上半身で何かできる事はないかと考えていた時に、学研教室の説明会があるとの新聞広告をみて、予約なしで行ってみました。五~六人参加者がいた会場で、受け入れていただき、説明を聞いた後、その場でテスト(国語と算数)があるとのこと。気づくと参加者がみなさん退室して、私一人で受けることになりました。後日、事務局から電話があり、教室開室を勧められました。私にもまだできる事があったということで、さっそく開室のためにできる事を考え、必要なものをそろえていきました。月二回の研修を二年間続け、六年目の現在は、二教室を運営しています。

受講時高校生だった初年度の彼女は、講座のおかげもあり、無事大学生になって現在も演劇の勉強をしています。残された私は、二年目、三年目と与えられた課題と、新たに出会った受講生の方々との交流が楽しくて、続けて通っていました。今回の戯曲は、その中で書いたものです。二〇一八年一月に足を痛め手術をしなければならなくなり、今年度は戯曲講座をお休みしていました。若い受講生と一緒に活動していると、楽しい発見やら、新感覚やエネルギーをいただいていました。

しかし、手術後は脚の回復のリハビリに集中、していたため、時間があるはずなのにちっとも発想が浮かんでこなくて、今年は一本もかけずに終わってしまいました。

入院中に弦巻氏から『あらかん・・・』をリーディングで使ってくださるというお話があったときは、えっ!使っていただける?と驚きと、うれしさと、どんな風になるんだろうという戸惑いがありました。今年のスタートから病院漬けだった私へのクリスマスプレゼントのようで、やっと年末にいいことがあったと嬉しくなりました。来年から、またチャンスがあれば受講して次の作品に挑戦してみたいという気持ちが芽生えてきました。

あらかん時代も後半に差し掛かり、今は「古希まっしぐら」の私です。これからは「しゅうかつ」(就活・終活・師友活)でしょうか。

このような機会をいただきありがとうございます。楽しんでいただけたら嬉しいです。

髙田眞紀子(『あらかん あらまあ あっけらかん』脚本)