「秋の大文化祭!2023」(2023年)

OVERVIEW

弦巻楽団が主催する毎年恒例の名物企画「秋の大文化祭!」。2023年は規模を拡大し、3つの演劇作品を上演。

1つ目の演目は、チリの劇作家アリエル・ドーフマンの『死と乙女』。弦巻啓太が長年上演を夢見てきたスリリングな心理劇を、青井陽治による翻訳で上演。

2つ目の演目は、東京からのスペシャルゲストとして劇団5454を招聘。若手演出家コンクール2022で完成度の高さを絶賛された話題作『宿りして』。

3つ目の演目は、演技講座発表公演として上演される、長谷川孝治の『冬の入口』。演技初挑戦の方から何度も舞台に立つ俳優まで、さまざまな背景を持つ講座生が挑戦するのは、丁寧な会話から人間の機微を描く名作戯曲。

全く異なる3つの名作を楽しんでいただける企画として、大きな話題を呼んだ。

#38 1/2『死と乙女』

旗揚げ20周年の記念公演第二弾として挑戦するのは、チリの劇作家アリエル・ドーフマンの名作『死と乙女』。独裁政権下での人間の尊厳と正義を描くこの作品は、3名の登場人物によるスリリングな心理劇です。1990年に発表されて以来、そのセンセーショナルな展開が世界中に衝撃を与え、今もなお繰り返し上演されています。弦巻啓太が若い頃から取り組みたいと熱望していたこの問題作を、青井陽治氏の翻訳でついに舞台化します。

STORY

軍事クーデターから十数年後、独裁政権が崩壊した現在も、ポーリナは過去の拷問の傷が癒えずにいた。

ある晩、夫・ジェラルドーは、帰り道で車がパンク。たまたま通りかかった医者・ロベルトが彼を家まで送り届けることになる。ロベルトの声を聞いた瞬間、ポーリナは確信する——この医者こそ、自分の人生を壊した男だ。

復讐を果たそうとする妻、
妻を説得しやめさせようとする夫、
人違いだと無実を訴える医者。

衝撃と議論を呼び起こし続けるセンセーショナルな問題作を、札幌キャストで堂々上演。三つの運命が交錯する緊迫の夜を、ぜひお見逃しなく。

演出家・弦巻啓太のコメント

初めて読んだのは高校生の時でした。出演者はたった3人。しかしその中には歴史、国家、個人、愛憎、性差…あらゆる問題が集約されてました。
いつかこの作品を上演したい。そう思い続けてずいぶん経ちましたが、『死と乙女』の黒々とした輝きは30年経っても全く翳りません。拭い去れない過去についての舞台ですが、もしかするとこの国の未来、いやひょっとすると現在のお話かもしれません。

脚本 アリエル・ドーフマン
翻訳 青井陽治
演出 弦巻啓太

出演
井上嵩之(→GyozaNoKai→)
木村歩未(劇団fireworks)
佐久間泉真(弦巻楽団)

日時
12月2日(土) 19:00
12月3日(日) 15:00
※開場は開演の30分前。
※上演時間約110分。

社会背景・歴史 監修 馬場香織(北海道大学)
協力 さっぽろアートステージ2023実行委員会、札幌劇場連絡会(TGR札幌劇場祭2023 大賞エントリー作品)

受賞

TGR札幌劇場祭2023 優秀賞・俳優賞(井上嵩之)

劇団5454『宿りして』

所詮、私の授業なんて、仮眠時間としか思われていない。
古典教師の小野は、自分の仕事に自信も情熱もやりがいも持てずに、淡々と授業の時間をこなすだけの日々。ある時、そんな小野に異変が訪れる。
仕事も私生活も全てが楽しい。それからと言うもの、世界が変わったように見える。
「宿りして 春の山辺の寝たる夜は 夢のうちにも花ぞ散りける」
美しい光景の余韻が続く、夢のような現の生活。
紀貫之の幻想的な歌を題した劇団5454の隠れた名作。

劇団5454とは

「5454」と書いて「ランドリー」
脚本家、演出家の春陽漁介を主宰として、2012年4月旗揚げ。『青空の下になびいている真っ白いTシャツのように、日々当たり前に見えている風景をリフレッシュさせたい。日常の汚れた気分を“ゴシゴシ(5454)と洗い流したい”』というのが劇団名の由来。作風は、人間の心理的な部分から作られるヒューマンコメディー。
全ての作品にオリジナル楽曲を起用をし、台詞とメロディーが融合した、ポエトリーリーディングが作品の価値を高めている。また、舞台美術は、抽象的でシンプルな作品が多く、照明の演出により映画さながらの展開スピードが強み。
現在は、劇団員7名で活動中。

脚本・演出 春陽漁介(劇団5454)
音楽 Shinichiro Ozawa

出演
榊木並、森島縁、窪田道聡、及川詩乃(以上、劇団5454)
岸田百波、高品雄基

日時
12月1日(金) 19:00
12月2日(土) 11:00
※開場は開演の30分前。
※上演時間約75分。

マネージャー 堀萌々子(劇団5454)
協力 さっぽろアートステージ2023実行委員会、札幌劇場連絡会(TGR札幌劇場祭2023 大賞エントリー作品)

受賞

TGR札幌劇場祭2023 大賞

演技講座発表公演『冬の入口』

町の有力者が亡くなり、火葬場に人々が集まる。息子たち、その妻、息子たちの会社の同僚、部下、亡くなった父が携わっていた文学サークルのメンバー…。荼毘に付す直前にお坊さんの到着が遅れ、それぞれが故人や現在抱えてる問題について語り始める。死を受け入れる家族や部下、死をきっかけに右往左往する人々。

 「魂の故郷ってどこなんですか。」

誰もがいつかは迎える、冬の入口の物語。 

演技講座発表公演とは

開講10周年を迎えた弦巻楽団演技講座が、弘前劇場主宰・長谷川孝治の名作である『冬の入口』に取り組みます。演劇初挑戦の社会人や学生たちを含む13名の講座生が、新入団員を含む4名の劇団員と共に、約8ヶ月間の稽古の成果を披露します。現代口語演劇の一つと高く評価された、等身大の人間の「生」がまるごと描かれた会話劇『冬の入口』。経験も背景もバラバラな講座生が、講座史上初となるコンカリーニョの舞台で演じます。どうぞお楽しみに!

脚本 長谷川孝治
演出 弦巻啓太

出演 阿部藍子、荒木柚音、石田暖都、石田琉衣、伊藤優希、高橋友紀子、中村文子、橋本快斗(北海学園大学演劇研究会)、水戸部佳奈(劇団ひまわり)、宮下諒平(北海学園大学演劇研究会)、宮脇桜桃、吉井裕香、藤田恵未
木村愛香音(弦巻楽団)、髙野茜(弦巻楽団)、高橋咲希(弦巻楽団)、来馬修平(弦巻楽団)

日時
12月2日(土) 15:00
12月3日(日) 11:00
※開場は開演の30分前。
※上演時間約100分。

演出助手 阿部邦彦、柳田裕美

公演概要

日程

2023年12月1日(金)〜3日(日)

12月1日(金)
19:00 劇団5454『宿りして』

12月2日(土)
11:00 劇団5454『宿りして』
15:00 演技講座『冬の入口』
19:00 #38 1/2『死と乙女』

12月3日(日)
11:00 演技講座『冬の入口』
15:00 #38 1/2『死と乙女』

会場

生活支援型文化施設コンカリーニョ

チケット・料金

秋の大文化祭!通し券

事前精算(前売)のみ
6,000円

#38 1/2『死と乙女』・劇団5454『宿りして』

事前精算(前売)
一般 3,000円
U-25 2,500円
高校生以下 1,000円

当日精算(予約・当日)
一般 3,500円
U-25 3,000円
高校生以下 1,000円

演技講座『冬の入口』

事前精算(前売)
一般 2,000円
高校生以下 1,000円

当日精算(予約・当日)
一般 2,500円
高校生以下 1,000円

スタッフ

照明:山本雄飛
音響:大江芳樹(株式会社ほりぞんとあーと)
宣伝美術:横山真理乃(劇団5454)
後援:札幌市、札幌市教育委員会
主催:一般社団法人劇団弦巻楽団

舞台写真