ツルマキ・アーケストラ!!!『間奏曲』(2010年)

OVERVIEW

若い演劇人を中心に、未経験者でも参加でき、技術的な経験も積める実践型の演劇ユニット「ツルマキ・アーケストラ!!!」。第1回目はジャン・ジロドゥ原作『間奏曲』。

作品について

フランスのとある田舎町。どうやら最近おかしなことばかり。
なんでも男の幽霊が森に現れては人々を驚かせているらしい。
そして。噂の的は女教師。彼女は夜な夜な幽霊との逢瀬を重ねている…?

科学が全てを解き明かす少し前。超常現象に翻弄されながら、幽霊と女教師を奪い合う町の人々の姿を通して、詩情豊かに生と死の対決を描いたジャン・ジロドゥの傑作コメディ 『間奏曲』!

公演概要

出演

長麻美
濱道俊介
大沼理子
江崎未来(東区市民劇団オニオン座)
長岡登美子
小松悟
長原桂
若林大志(亀吉社中)
大原達也(劇団SON’s SUN)
小池瑠莉(北海学園大学演劇研究会)
吉原大貴(演劇ユニットブレブレイン)
脇愛美(演劇ユニットブレブレイン)
堤亜美
木幡美紗子(劇団ルート1)
トマト(教文13丁目笑劇一座)

日程

2010年8月26日(木)〜30日(日)
全6ステージ

会場

扇谷記念スタジオ・シアターZOO

スタッフ

脚本:ジャン・ジロドゥ
潤色・演出:弦巻啓太
演出助手:長岡登美子、小池瑠莉、長麻美
照明:相馬寛之
音響:諸橋加奈(劇団しろちゃん/劇団ルート1)
舞台美術:濱道俊介、吉原大貴、小松悟
小道具:若林大志、江崎未来、堤亜美、木幡美紗子
宣伝美術:藤原柚
制作:長原桂、大原達也、劇団弦巻楽団
企画:飯塚優子
主催:劇団弦巻楽団、北海道演劇財団、NPO法人TPSくらぶ
共催:レッドベリースタジオ

メッセージ

(intro)

「レッドベリースタジオの10周年を記念してこの作品を演出してもらえないか?」
と、飯塚さんに打診されたのはちょうど一年ほど前。ジロドゥの名前に最初はひるんだが、「是非に」と言ってくれた飯塚さんの心に答えたかった。なーに、古典といったって20世紀じゃないか!その考えが、やはり浅はかであったことを一年後僕は痛感する。

(verse)
ジロドゥの言葉は捕まえるのが難しい。逆説的な修飾語、皮肉や諧謔としての自己主張、飛躍し、時に暴走する賛辞。それを読み取り、自分の肉体に定着させる役者の作業は、まさに格闘だった。
何度もメンバーで話し合い、シーンの意味を、言葉の位置づけを、世界をどの角度で眺めるべきな のかを話し合った。メンバーの殆どが初顔合わせとなるアーケストラ!!!だが、一ヶ月を越えた辺りから キャリア・年齢問わず闊達な意見が交わせるようになってきた。

(bridge)
そもそも、演劇を志す若者ともっともっと取り組みたかった。少なからず伝えられるものがあると信じてい たし、彼らから教わるべきだとも感じていた。若く、経験のないメンバーと、「演劇の立ち上げ」からじっ くり共同作業できる現場。 飯塚さんの申し出は、 それを探していた僕に絶好の機会を与えてくれた。 集まった15名は、キャリアのあるもの、殆ど初舞台のもの、申し分のないメンバーだった。記念すべき「ツルマキ・アーケストラ!!!」第一回参加メンバーだ。経験のある参加者から、20歳前後駆け出しの参加者に引き継がれたものは少なくないだろう。

(2nd verse)
しかし!なんと言っても「レッドベリースタジオ」があっての現場、作品だ。この約2ヶ月、 僕らはスタジオに入り浸り、声を出し、転げ回り、時に外でバーベキューや花火をしたり、語り合い、議論し、大原君をいじることに盛り上がった贅沢なこの時間は、神様が与えてくれた夏休みのようだった。

(chorus)
『間奏曲』には女学生が登場します。その図々しい、生命力を一身に放つ、 残酷で、儚い、それは「期限付き」であるからこそ儚い、「特別な時間」についての物語です。 そこをくぐり抜けた人にはノスタルジーとサウダージを。今、まさに渦中にいる人には予感と切なさを。いつも外から眺めるしかない男性諸氏には…憧れと眩いばかりの愛しさを。劇場で感じていただけたら嬉し いです。

どうか、ごゆっくりお楽しみ下さい。 終わらない夏休みは来ませんが、だからこそ、来年の夏に思いを馳せ。

弦巻啓太(当日パンフレットより)