#11『EQUINOX』(2010年)

OVERVIEW

イクイノックス――昼と夜が完全な均衡を保つ日。 サスペンスと哀しみを主題にした悲劇。コメディの冴えはそのままに、「誰でも楽しめる」楽団エンターテインメントの新たな一面を見せた。

作品について

北海道のとある村、住人みんなが顔見知りのような小さな村で6年前、野々宮勇が高校時代の恋人の小夜にふられた後、崖から転落死したする事件が起きる。当時は警官の金山により事故として処理されたが、勇の母・陽子は別居中の夫や小夜の父、当時の担任、知人たちの誰もが自分を蚊帳の外にして真相を隠しているのではないかと疑い続けていた。小夜の結婚式が間近に迫ったある日、陽子は真実を明らかにするため、ある行為に出る——。

公演概要

出演

石川藍
塚本智沙
藤谷真由美
庄本緑子
原田充子(Real I’s Production)
楽太郎
齋藤雅彰(超級市場)
松橋勝巳(劇団 Actor5)

日程

2010年4月22日(木)~27日(火)
全7ステージ

会場

扇谷記念スタジオ・シアターZOO

スタッフ

作・演出:弦巻啓太
照明:清水洋和((株)ほりぞんとアート)
音響操作:山崎亜莉紗 (Massive 4tsp.)
舞台美術:上田知
衣装:佐々木青
演出部:高山龍、大原達也(劇団 SON’S SUN)、児玉由貴
制作:佐藤春陽菜
制作協力:大門奈央子
宣伝美術:藤原柚
主催:弦巻楽団、北海道演劇財団、NPO法人TPSくらぶ

メッセージ

本日は弦巻楽団#11『イクイノックス』にお越しいただきありがとうございます。

イクイノックスとは、昼と夜の長さが完全に同じになる日、つまり先月の春分の日や秋分の日のことです。昼と夜、光と闇、そんな連想からこの物語は生まれました。安直過ぎるかな?

相変わらず御知らせの多い劇団ではありますが、今年度は大・小・長・短合わせて四回公演を行なう予定です。いろいろな場所で、いろいろな形で、作品をお届けしたいと考えてます。相変わらずの過渡期です。現在新入団員募集中。求む即戦力。現在男子1人(私)・女子4人(内1人お休み中)。男、有利です。ウェルメイド・コメディを標榜する割りにおかしなことも(かなり)やってきた我々ですが、今回は今までに無い冒険です。

そもそも、5年ほど前に「今こそ楽天的な笑いを」と思った所から始まった。その根拠の無い皮膚感覚だけの確信は、世間的な評価はともかく、僕自身には有効に作用した。とにかく笑ってもらおう。絶望とか、傷だとか、闇とか鬱とか敗北とか苦汁とか、死とか、それらをスキップしてかわすようなコメディを作ろう。軽く表層的で、ポジティブな。

作戦はうまくいったり、ちょっと(ご存知の方もいらっしゃるように)危なかったりした。そうして縁あって昨年『魔法』(TPS)と『果実』と言う旧作を再演させてもらえる機会も出来た。

「昔の作品なんて…」と思ってる自分も居た。出来が悪いと思ってた訳じゃない。やる必然が見つからなかった。少し前までは。もっともっと、「軽い」作品じゃないと駄目だと思っていた。ソウルが込められない「効かない」と感じていた。でも、その2作品は全然フィットした。なんのことはない、一巡りしてたのだ。僕の中で。

マイケル・ジャクソンが亡くなった。自民党が死んだ(そして分裂しようとしてる)。世界は動いてる、そして少しも変わってない。「笑い」は増えた。芸人がモテる時代がまた巡って来た。

そんな訳で、今回は「笑い」は無い(に等しい)。

新たな啓示、根拠の無い確信のもと、絶望とか、傷だとか、闇とか鬱とか敗北とか苦汁とか、死とか、それらと今回はワルツ、もしくはタンゴを踊るつもりだ。これも、弦巻楽団のエンターテイメント、ソウル・ミュージックです。

皆さんに味わって貰える事を祈る。ごゆっくり、お楽しみ下さい。

弦巻啓太(当日パンフレットより)