#14『スウィート・ソウル』(2011年)

OVERVIEW

ウェルメイドコメディのスタイルを踏襲しつつ、あくまで現代的な関係性と感情をテーマとした「サスペンス・コメディ」。夫婦という共同体、共生体についての物語。脆く、危うく、拙い、でも逞しい人間の姿を描く。

作品について

団地の一室に集まった二組の夫婦。夫たちは居間でビールを飲み、妻たちはキッチンでケーキを作っている。妻同士は学生時代からの親友で、入籍日も同じ、この日は二組の結婚記念日だった。しかし、2人が作っているのは毒入りケーキ。団地に越して来た菓子教室の講師から女性の自立・解放を吹き込まれ、洗脳されてしまった二人は夫の殺害計画を立てていた。そこへ同じ団地に住む別な夫婦や独居の詩人らしい男も乱入し、みんなで乾杯してケーキを食べようとしたそのとき、意外な人物が毒死する——。

公演概要

出演

佐井川淳子(WATER33-39)
温水元(満天飯店)
藤谷真由美(苗穂聖ロイヤル歌劇団)
江崎未来(東区市民劇団オニオン座)
小野優(LAUGH LAMP)
吉原大貴(演劇ユニットブレブレイン)
大沼理子 
楽太郎       
弦巻啓太

日程

2011年5月12日(木)~17日(火)
全7ステージ

会場

扇谷記念スタジオ・シアターZOO

スタッフ

作・演出:弦巻啓太
照明:相馬寛之
音響操作:渡辺智之
衣装:佐々木青
舞台美術:川崎舞
美術制作:上田知
宣伝美術:藤原柚
撮影:佐藤さゆり(HAKONIWA)
制作:大沼理子、大原達也、弦巻楽団

メッセージ

みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

早くも今年2度目の公演を迎えます。弦巻楽団#14『スウィート・ソウル』にお越しいただき誠にありがとうございます!!

季節良く、ちょうど桜が見頃な時期での公演となりました。観刺後はぜひ中島公園の夜桜をご見物ください。先日劇場からの帰り道、公園の桜並木を見上げていたら、夜道を(何故か)歩いていた鴨を踏んづけそうになりました。何が現れるか分かりません。

この数ヶ月、自分の感受性が硬直していました。まあ、参ってた訳です。色々なことに打ちのめされてました。赤ん坊の動画をバソコンで観ては泣いてました。「思っていることを言う」のが本当に厄介な世の中になってしまったものです。いえ、あの震災のことが言いたい訳ではありません。もっともっと後ろにあるもののことです。僕たちの猜疑心、恐怖心、卑屈で弱い心のことです。

それでも、僕は書くことでそのこわばりをほぐして行けました。登場人物の挙動、言動、さらに役者がそれに命を吹き込む瞬間に、僕は元気を貰いました。それは間違いなく今回の指針でした。

今回はサスペンスコメディです。当初思い描いていた「サスペンス」からは大分外れましたが、「サスペンス」である点は変わってません。コメディである点は、ちっとも動きませんでした。

僕たちはどこへ行くのでしょう?何を残すのでしょう?そう考えると、人の一生は本当に儚い。今ここに存在することは、運命の悪戯でしかない。ここで出会ったと言うのは、偶然か、あるいは奇跡か。誰かと生きて行くと言うことは、夢か、悪夢か。

ごゆっくり、お楽しみください。では。

弦巻啓太(当日パンフレットより)